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SELECK、WistantのEBO(従業員への事業譲渡)と、RELATIONSの未来について

はじめに


こんにちは。RELATIONS株式会社 代表取締役の長谷川です。

弊社(RELATIONS株式会社)はこれまで、コスト改善コンサルティング事業「Less is Plus」とメディア事業​​の「SELECK」、マネジメント支援事業の「Wistant」という3つの事業を運営しておりました。

そしてこの度、RELATIONSからSELECKとWistantをEBO(エンプロイー・バイアウト)するというリリースを発表いたしました


<プレスリリース>
https://www.relationsgroup.co.jp/news/#news-id-1857
これはRELATIONSにとって大きな決断であり、事業戦略もそれに伴って舵を切り、新たな方向へ進み始めております。


本noteでは、RELATIONSの代表という立場からEBOの経緯について詳しく触れ、次回のnoteでは今後のRELATIONSのパーパスや戦略に触れていければと思います。
主に、弊社に関わってくださっている顧客の皆さまや、採用候補者の方々にご覧いただけると幸いです。

改めて、このnoteでは
・SELECK、Wistantの誕生経緯
・EBO決断直前のRELATIONSの状況
・創業メンバーでのシステムコーチング
・一連の変遷を受けての自分の想い
といったことをお伝えできればと思います。長文ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


SELECK、Wistantの誕生経緯


今回のEBOの意思決定の話に進む前に、少し時間を巻き戻します。

2015年当時のRELATIONSの状況や、SELECKとWistantが誕生した背景にある文脈理解から書き始めていければと思います。

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当時のRELATIONSは、Less is Plus(弊社の主力事業:コスト改善コンサルティング事業)が順調に売上を伸ばし、過去最高売上・利益を創出しておりました。


会社としては、複数の事業を立ち上げていくことをテーマに掲げており、既存事業が安定している間に新規事業へ積極的に投資し、事業ポートフォリオを安定化させることを全社方針としていました。


また、新規事業の立ち上げにあたっては、会社の方針に則って事業開発をするよりも、メンバーの想いや意志を尊重することを優先し、当事者の熱量から生み出されるものに対して投資をしていました。


そういった文脈があり、新規事業提案制度や新規事業ブレストを開催したり、全社でデザイン思考を学習したり、各メンバーの自律的な活動から、新規事業開発を進めていました。


そして、2015年にメディア事業​​のSELECKが誕生します。

初期は「すべてのビジネスパーソンに、すばやく最適な選択を。」というコンセプトで、ITツールの活用に焦点を当てており、ツール導入を進めた当事者へインタビューをし、記事化していくというスタイルでした。発信を続けるうちに少しずつ読者の共感が形成され、認知が広がっていきました。
立ち上げ時においては、全員睡眠時間を削って走り抜けていて、リリースパーティーで大盛りあがりしたのを今でもはっきりと覚えています。


そんなSELECKも順調に取材数が増えて、「表に出ない”企業の知”を蓄積するWebメディア」として、スタートアップや大企業など様々な企業の内情をお伺いする機会も増えていきました。その中で、ふと一つの疑問がチームから湧き出てきました。

それは、「変化へしなやかに対応できて成長していく組織と、変化に恐れを抱き硬直化して変化できない組織がある。その差は一体何だろうか?」という、組織の根幹に関わる問いでした。


この問いが、マネジメント支援事業である「Wistant」誕生のきっかけになります。
Wistantは先ほどの問いに対して、組織全体の振り返りのサイクルをきちんと回すことに着眼しました。個人、チーム、組織が各レイヤーごとに体験したことを振り返り、学びや気付きを全体へ反映させて動きを変えていく。それが環境の変化に適応できる鍵だと考えました。

当時、世の中にそういったSaaSのツールはなく、チャンスがあるのではないか。そう考え、プロダクトを開発することを全社として意思決定しました。


その後Wistantは、ユーザーの声を地道に聞いて改善を進め、「ピープルマネジメント」(詳細はリンクを参照)へたどり着きます。「ピープルマネジメント」とは従来の管理型マネジメントではなく、人に向き合い、1人ひとりの潜在的な力を引き出すマネジメントのことを指します。


ここまでが、SELECKとWistant誕生の経緯になります。


EBO決断直前のRELATIONSの状況

少し時間を先に進めます。

2020年前半のRELATIONSでは、「ええ会社をつくる」というパーパスへ向けて、主力事業であったLess is Plusに加えて、SELECK、Wistantが少しずつ成長しておりました。

Less is PlusとWistantをつなぐ事業であるLiP拡張(組織領域のコンサルティング事業)も加わりました。概要は、下の図をご参照ください。

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当時の各事業の状況や、働くメンバーの集合体としての声を、私の視点から説明します。


Less is Plusは、創業当時からずっとRELATIONSの売上、利益を支えてきました。ただ、少しずつ市場環境が変化しており、事業もそれに応じた変化ができなければ、厳しくなる可能性が高まっているタイミングでした。
自分たちの環境の厳しさが増す中で、会社の戦略は変わらず、新規事業への投資を優先している状況は変わりません。そのことに大きな不安を感じ始めるようになっていました。


そこから、新規事業の投資も応援したいが、より自分たちの可能性も広がるような戦略とその投資をしていきたいと考えていくようになっていきます。


Wistantは、「ピープルマネジメントの浸透」というテーマを掲げ、数十社への導入が進んでおりました。当時、市場では競合企業が増え、どう戦っていくのかが各メンバーの大きな関心事項でもありました。


ただ、弊社の場合はLess is Plusの利益からの投資になるので、スタートアップのような外部資金調達はできず、大胆な投資は選択として難しい状況でした。
会社全体からの期待も大きく、Wistantの成功がRELATIONSにもたらすインパクトの大きさも感じ、そのためにはがむしゃらにやっていこうと皆が努力を重ねておりました。


SELECKは、Wistantへリード獲得するためのオウンドメディアとして、また、自社ブランディングとしての役割を期待されていました。
SELECKは事業としての収益を追っていないので、メディアとして中立に立ち、コンテンツのクオリティに妥協せず運営をしてきました。その立ち位置が評価され、業界内でも知名度が高く、素敵なコミュニティができあがっていました。
そういった前提があるので、オウンドメディアとしての活用で留めていいのかという悩みは常にあり、今後のSELECKはどのような立ち位置で運営していくべきかが議論されていました。


RELATIONS全体に目を移します。すでに創業から12年経過しており、RELATIONSへのそれぞれの想い、自分の人生をどう生きるか、各事業の描く夢など大枠では一致するものの、細部のズレが生じており、それが意思決定の際に大きな衝突にまで発展するようになっておりました。

心の中ではそれぞれが吐き出したい感情があるものの、それに蓋をして走ってきたような感覚に近いです。自分も色々なことを自分の中に閉じ込めていたように感じています。


創業メンバーでのシステムコーチング

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そのようなタイミングで、ご縁があってシステムコーチングを導入することになりました。
システムコーチングは、2人以上で構成された関係(チーム、組織)をひとつのシステムとして見立て、システム内の”関係の質を最適にする”コーチングです。


パーソナルコーチングでは1人ひとりの内面に焦点をあてていきますが、システムコーチングでは、構成メンバー間の関係性(システムの内面)に焦点をあてて、ワークや対話をしていきます。
システムコーチの方に関わってもらいながら、色んなメンバーと対話したり、情報を集めて、どのシステムを入口にしていくのかを一緒に見立てていきました。結論としては、当時のRELATIONS全体に一番大きな影響を及ぼしていた代表の私自身と、組織全体の戦略や方向性を定める役割だったメンバーの2人のシステムに焦点をあてていくことに決め、そこから介入をスタートすることにしました。


その内容自体をここで扱うことはしませんが、コーチングを受けた私の感想としては、創業からずっと様々な議論をしてきた間柄であったにも関わらず、深いレベルでの本心を言えない部分があったんだなという衝撃がありました。私自身の課題でもありますが、どこか踏み込んで相手を理解していくことへの怖さや恐れがあったように思います。


その後、システムコーチングの対象を一緒に創業したメンバー全員へと広げました。共通して実施したのは、戦略や戦術、数値などの日々目にしている事柄ではなく、これまであまり言えていなかった自分の心の奥にある考えや相手への思い、感情を出し合うことです。それを通じて、自分や相手の中にある願いや感情を改めて理解し合う場となりました。
この場を通じての私の感想としては、各個人の特性を理解し、それぞれがより良い意思決定をしていくことへの共通見解が形成できたことに、大きな意味があったと思っています。


一連の変遷を受けての自分の想い

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この1年は私にとってすごく痛みのある時間でした。

「これまでのRELATIONSを続けていきたい」という想いがある一方で、自分の本心としては「違う方向へ進みたい」という考えが芽生えていたからです。


しかしそれは、メンバーからすると迷惑以外のものではないと自分の考えに蓋をして、その本心をいつからかオープンに出せなくなっていたように思います。自分が我慢して今のRELATIONSを受け止めていくべきだと、勝手に思い込んでしまっておりました。


自分の些細な心のズレを放置し、お互いの本音を聴き合わないままRELAITONSの経営を進めてきたことへの、しっぺ返しのようなものだとも感じています。


今回は、システムコーチングという手法を用いて、これまで立ち入らなかった個々人の深い感情や想いへアクセスし、色々なものが表層に現れてきました。私自身だけのものではなく、色々な人の本心の声が、この出来事をトリガーに溢れ出てきたのだと思います。


その後は、それらを聴き合い建設的に互いが何を決断すべきかという対話を進めていきました。その結果、中途半端な形で各事業を継続するのではなく、各事業が目指す理想に向かってそれぞれ突き進んでいこうという結論となり、SELECKとWistantのEBOに至りました。


その決定により、一方的に影響を受ける人がいたことも事実であり、その点は今後もずっと目を背けずに、RELATIONSの経営をしていきたいと思います。


コロナ禍ではありましたが、2021年4月3日にEBOに伴う全社での卒業式を、感染対策を万全にして行いました。色々な変遷がありましたが、ここで1人ひとりの門出とこれまでのお互いへの感謝の気持ちを伝え合うことができたのは、私にとって人生の大きな大きな1ページとなりました。


それぞれの旅路が最高のものになるように応援したいですし、私自身もこれからの未来へ向けて全力で人生を走り抜けたいと思っています。


だいぶ長いnoteになりましたが、ここまでお付き合いをいただき、ありがとうございます。


次回は「これからのRELATIONSが目指していく未来」について、詳しくnoteに書きたいと思います。よろしくお願いいたします。