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輪読会のすゝめ。全8回の開催で学んだ失敗パターンと成功のコツ

※本記事は2019年7月に執筆した記事です。

みなさん、こんにちは!RELATIONSの加藤です。
普段は、新卒やエンジニアの採用を担当していますが、本日は「輪読会」のお話をします。

「輪読会」という言葉を知っている、もしくは参加したことがある人も多いのではないでしょうか?

「輪読会」をネットで調べると、このような定義が出てきます。

人々が集まって、同じ教科書などの本を読み、その内容について意見を交わすことを意味する語 (Weblioより)

しかし、いざ「輪読会を始めよう!」と意気込んでも、効果的な輪読会の運用方法は中々ネットでは出てきません。そこで、2018年から計8回開催している社内輪読会、通称「REDOKU」で、試行錯誤してきた中での学びを全て公開したいと思います!

余談ですが、「REDOKU」という名前は、「RELATIONS×輪読会」からきています。制度を浸透させる上で親しみやすいネーミングが重要です。そのため、「輪読会」や「読書会」など堅苦しいイメージを持たれる単語ではなく、キャッチーな言葉になるように考えました。

目次はこちら。

1. 目的を設定しよう

まずはじめに、何事も目的の設定が大切です。RELATIONSでは、輪読会の目的を以下の3点に設定しています。

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① インプット&アウトプットの機会
まずひとつめが、インプットとアウトプットの機会です。
インプットとしての輪読会のメリットは、効率的に本の内容を理解できることです。
複数人で分担して本を読むため、読書時間が短縮され、その分難易度の高い本にもチャレンジすることができます。
例えば、弊社で輪読をしたドラッカー大先生の『マネジメント』は、ひとりで読もうと思ってもなかなかに心が折れますよね…!しかし、2章分であれば2〜3時間で読むことができます。
そして、担当分の要点をまとめ、他のメンバーに共有することは、アウトプットの練習にもなります。本の内容について議論をすることで、自分1人では気が付かなかった観点を学べることも、輪読会のメリットのひとつです。

② 他事業部間での交流
次に、輪読会ではグループでの議論が行われるため、普段業務で交流がないメンバーとも話すきっかけが生まれます。(このチーム分けが結構大事なので、あとで触れます。)

事業部や職種、経歴が違えば、同じ本を読んでも感じ方が違ってきます。
それぞれが感じたことや頭の中の知見をシェアすることによって、
「この人は、◯◯な経験してきたから、こういう観点を持ってるんだ!」
といったような相互理解に繋がるのです。弊社は、50人規模の組織ながら複数事業を運営しているため、社員同士の交流を目的の1つとして置いています。

③ 共通言語の醸成
RELATIONSの輪読会の運営においては、一番のポイントかもしれません。実際、最も効果を感じている点です。
全員で同じ本を読むということは、参加者全員が共通の概念、言葉の定義、スキルについて理解することになります。すると、社内での会話がよりスムーズになり、共通言語が生まれます。
例えば、社内で『OKR』を読んだ時には、「ムーンショット」という用語が、社内で一時期飛び交っていました。その後、全社目標として実際にその言葉が使われることになったのですが、すでに輪読会の参加者はインプットが完了していたので、認識の齟齬が少ない状態のままOKRの運用を開始することができました。

2. 選書のポイント

輪読会の満足度の9割は、「選書」で決まるといっても過言ではないです!
会の目的に沿っていない本を選んでも当然だめですし、本の内容が難解すぎてもいけません。
そこで、より適した本を選ぶための観点を2つお伝えします。

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① 会の目的とゴールは何か?
1で説明をした輪読会自体の目的も大切ですが、各回のゴールを設定することも同じく重要です。「輪読会を通じて参加者全員にどのような気づきを得てほしいのか」「輪読会で得た学びをどのようなアクションにつなげてほしいのか」を考える必要があります。

REDOKUでは、社内で「今」必要としている知識をインプットでき、全員が明日からのアクションに繋げられるような本を選んでいます。
例えば、今年6月に開催したREDOKUでは、ちょうど四半期フィードバックと360°フィードバックの時期だったため、『ハーバード あなたを成長させるフィードバックの授業』を選びました。この時のゴールは、「フィードバックを行う or 受ける際に、実践できる学びを見つけること」に設定していました。

② 本の難易度は適切か?
これが本当に難しい!!!(涙)
抽象度が高すぎる本だと、各々のリテラシーや前提スキルが整っていないため、議論が進まないことがあります。一方、簡単すぎても学びは得られないですし、これもまた議論が進まない。。。

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先程のフィードバックの本を選ぶにも、Amazonで「フィードバック」と検索するだけで、これだけの種類があります。しかも、スキル系から概念系まで様々。これらを全部1人で読んで選書するのは効率が悪すぎますよね。

そのため、テーマに一番詳しいメンバーや社内有数の読書家にオススメを聞いたり、アンケートを取るのがオススメです!私もよく社長や運営メンバーにヒアリングをしています。あとは、社内でテーマを公募するのも効果的です。

3. 輪読会の形式を決めよう

目的と本を選び終えたら、次にどのように輪読を行うかを決める必要があります。輪読会の形式には、様々な種類があります。
例えば、全員が1章ずつ読んで、ディスカッションを行う形式。これはエンジニアなど専門書籍などを輪読する場合に適しています。
また、事前準備を必要とせず、その場で全員が担当章を読んで発表する「アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)」も有名な手法の1つです。詳しくはこちら

弊社では、輪読会の目的で設定した3つを達成するために、「ジグソー法」という手法を用いた輪読会を行っています。
「ジグソー法」は、アメリカの社会心理学者、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の名誉教授でもあるエリオット・アロンソンが提唱したとされています。

流れとしては、下記の3段階に分かれます。

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まずは、グループごとに担当するパートを決めます。オススメは、章ごとに担当を割り振るのが一番シンプルです。そして、同じ章を読んだ人たちがひとつのグループになって、本の要約を作成します。

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次に、各グループから1〜2人を集めた別のグループを構成し、各メンバーが自分のグループの要約を発表します。すると、全員の発表が終了する時には、まるでジグソーパズルのように、1冊の内容をすべて共有し終え、理解することができます。(なんと効率的!)

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本の内容を理解するだけであればここで終了なのですが、最後にディスカッションの時間を設けるのもオススメです。ディスカッションの内容は、テーマを決めて議論する形でもいいですし、REDOKUでは「KPT」という振り返りのフレームワークを利用して次アクションを決めることが多いです。
(「KPT」について詳しく知りたい方は、こちらの記事がオススメです。)

4.チーム分け&集客をしよう

さて、ここまできたらあとはチーム分けと周知のみです。
チーム分けはランダムでもいいのですが、よりよい体験をしてもらうために、下記のポイントを頭に入れながらチーム分けを行っています。

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そして、参加者の集客については、タイミングが重要です。ここで知っておくと良いのは「参加者がいつ本を読んでくれるか?」だと思います。
そこで、実際にREDOKU参加者20名に「いつ本を読むか?」についてアンケートを取ってみたのですが、その結果・・・

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当日や前日が大多数でした。(笑) (夏休みの宿題と一緒ですね)
余裕を持って、チーム分けの時間などを考えると、1ヶ月前に全体周知をし、参加者を決定。そこから、2週間前までには担当箇所を発表するのがベストだと思います。

5. 成功したこと、失敗したこと

ここまで準備が完了したら、当日を迎えるのみです!
最後に、1年間輪読会を運営してきた中で、失敗したこと、成功したことをお伝えできればと思います。

▷ 失敗したこと

【孤独な運営は続かない】
はじめは私一人で運営をしていました。
しかし、これが大変なんです。企画から周知、チーム分け、当日の運営など、意外とやることは多いです。結果、自分の心が一度折れてしまい、4ヶ月ほど開催できませんでした。(ごめんなさい。)
その反省を活かして、現在はREDOKUによく参加してくれるメンバー3名にも協力してもらっています。やはり、メンバーの力を借りて、選書やワークの内容を決める方が、自分では考えられないアイディアも生まれやすくなります。何よりもモチベーションが上がる!(笑)
同じ課題感を持っている人たちを巻き込んで、「まずはやってみる!」ことをおすすめします。

【難解な本を選んでしまった】
抽象的な内容ばかりの本や、専門的すぎる本では、解釈の違いや理解度合いによって議論が進まないケースがありました。(泣)
先述した、ドラッカーの「マネジメント」の本を選んだ会はまさにそうでした。専門的な内容の本ほど、参加人数を極力絞る、もしくは参加者のレベルをスクリーニングすることをオススメします。

▷ 成功したこと

【インプットの習慣化】
RELATIONSでは、「進化に勝る超進化」というバリューがあります。「全員が常に学び、挑戦を繰り返すことによって超速で進化していこう!」という意味なのですが、輪読会がまさにその良い機会となりました。
輪読会は、「手軽」に知識をインプットする機会として最適です。しかし、本質的な理解や、アクションまで繋がるかというと本人次第となってしまいます。
しかし、REDOKUで読んだ本を、チームメンバーで改めて輪読したり、事業部単位で輪読会を開催したりと、自発的な社内のアクションに繋がっているのは非常に嬉しいことです。

そして、弊社には「超進化制度」という書籍購入を補助する制度があるため、気兼ねなく本を購入できることも、習慣化の要素の1つだと思われます。

【外部からの参加者】
輪読会の参加者は、決して社員だけである必要性はありません。
過去には、弊社のクライアントや採用でお世話になっているエージェントさんを招待したり、退職したメンバーにも参加してもらいました。
人が増えれば増えるほど、必然的に議論の幅も広がりますし、輪読を通じて得ることができる知識も増えていきます。今後も、外部の人達をどんどん招待していきたいなと個人的には思っています。

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(REDOKUでは、お酒もOK!)

「とりあえずやってみる」から始まった輪読会ですが、

脳内にある個人の知見を本を通じてシェアをすることにより、組織全体のインプットレベルを向上させ、相互理解も深めることができる機会

だと今は感じています。これからも様々な手法を試しながら、REDOKUも超進化していければと思います!

もし、「弊社の輪読会に参加してみたい!」「実際にどんな風に開催しているの?」と思った方は、ぜひご連絡ください!学生さんもウェルカムです!

それでは、みなさん素敵な読書ライフを!