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「フラットでルールが少ない組織」はストレス地獄。自律分散型の組織の正しい創り方

※本記事は2020年1月に執筆した記事です。

こんにちは、SKです。
昨今、「ティール組織」「ホラクラシー組織」「アジャイル組織」「自己組織化」といった「自律分散型の組織」の話をちらほら耳にするようになりました。

RELATIONS株式会社も自律分散型の組織です。2009年に創業でメンバーは50名ほど。外部からの資金調達はしておらず、売上は10数億円、営業利益は数億円規模の会社です。現在は全社で250ほどの役割が定義されており、全メンバーに権限が分散されています。

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2017年から自律分散型の組織への変革を始め、かつて創業メンバーや社歴が長いメンバーに集中していた権限や責任が分散されました。そして、自律的な動きが組織の各所で見られるようになってきました。

しかし、ここに至るまでに「自律分散型の組織に対するよくある誤解」によって、組織の「秩序」が弱まり崩壊しかけました。よくある誤解と実態は以下です。

<自律分散型の組織に対するよくある誤解>
自律分散型の組織は、役職がなくフラットでルールが少ない。

「役職がない」は正しいです...!!!

ただ、「フラットでルールが少ない」というのは多くの場合誤解です。

<自律分散型の組織の実態>
自律分散型の組織は、役職はないが、意思決定の面はフラットではなく、秩序を保つためのルールが明文化されている。

最近よく聞く「ティール型組織を目指したけど失敗した系の話」は「フラットでルールが少ないという誤解」により組織の「秩序」が弱まり失敗するパターンが多いのかな、と個人的には推測しています。

この記事では、「フラットでルールが少ない」というよくある誤解をそのまま採用しストレス地獄を経験した後、「変化に強い自律分散型の組織」として機能し始めた過程を記載します。


ミッションの再定義

RELATIONS株式会社は2009年に創業したのですが、2017年より組織変革を始めました。創業から8年が経ち、いくつかの事業ができ、事業部間の溝が深まり、「全体最適より個別最適が強まる」というあるあるの組織課題が出ていました。いわゆるサイロ化です。

そこで、会社のミッションに対し1人ひとりのエネルギーが最大限発揮される「自律分散的な組織」を目指そうということで、組織を大きく変革することにしました。なお、「自律分散型」にこだわった理由は2つです。

1.自己決定こそ、メンバーの力を最大化すると信じていること。
2.変化が激しい世の中では、権限や責任が一極に集中するヒエラルキー型の組織より、自律分散型の組織が強いと確信していること。

2つ目の変化が現代が激しい世の中という話を少し詳しく説明しておきます。

以下は、2008年と2018年の世界の時価総額ランキングTOP10の比較です。マイクロソフト以外は総入れ替えされており、これを見ただけで世の中の変化の激しさが理解できると思います。

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※時価総額の単位は億ドル

また、サービスが5,000万ユーザーに達する時間も劇的に早くなっています。クレジットカードが5,000万ユーザーを獲得するのに約30年かかっているのに対して、Pokemon Goはわずか0.05年です。

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(5,000万ユーザーに到達するまでの時間)
※参考:VISUAL CAPITALIST「How Long Does It Take to Hit 50 Million Users?」

インターネット、スマートフォン、通信インフラの発達など複合的な影響で、世界中の人々に一瞬で情報が行き渡るようになったことで、変化が激しくなったのだと思います。

企業がそれまで築いていた競争上の優位性や常識が一瞬で変わる可能性がある世の中と言えます。このように変化が激しい世の中では、事業だけではなく組織も変化に適応できるよう創り変えなければなりません。

これまでの常識であったヒエラルキー型の組織は、不確実性が低い世の中で力を発揮しますが、変化には弱い。トップが変化を察知し、戦略に反映させ全員に落とし込まなければならないので、スピードが出ません。

一方で、変化に強い組織の代表例が「自律分散型の組織」です。組織を構成する1人ひとりが察知したひずみや顧客ニーズを元に自律的に判断やアクションが起こります。顧客やマーケットの変化が激しくても、機敏に対応できます。

そのため、自律分散型を組織変革のコンセプトとしました。

組織変革に際して、まず初めに行ったのは全メンバーを巻き込んだミッションの再定義です。全メンバーで「なぜここにいるのか?(Why we are here)」をブレーンストーミングしながら「ええ会社をつくる」というミッションが再定義されました。

ミッションの再定義はうまくいったのですが、ここから「自律分散型の組織へのよくある誤解」にはまり、組織の「秩序」が弱まり崩壊しかけました。

フラットでルールが少ないという「耳障りの良い誤解」

当時、自律分散型の組織に向け、社内に以下のようなメッセージを放っていました。

・フラットな組織
・ルールが少ない
・自律分散
・聖域なく何でも変えられる
・情報オープン
・心理的安全性
・性善説
・自由
・株式譲渡
etc...

1つひとつは、とても耳障りが良い言葉.....。

そして「役職も極力なくしていこう」ということで、取締役も法律上必要な1人だけを残し、辞任しました。自分もこの時に取締役を辞めています。

しかし、結論から言えば「フラットでルールが少ない」というのは、(ティール型など)自律分散型の組織に対するよくある誤解でした。そして、誤解にもとづいたメッセージを放ったことで、「秩序」が弱まり、組織風土がかなり悪化しました。

自律分散型の組織は「組織内の1人ひとりが全体を俯瞰する能力を持たないにも関わらず、自律的に判断し動き、結果として秩序を持つ組織」です。

役職等で「秩序」を図るヒエラルキー型の組織とは違う方法で「秩序」を保たなければなりません。

つまり、自律分散型の組織に適したガバナンスの構築が非常に重要なのですが、当時はその視点が弱いまま物事を進めてしまいました。

これは最近よく聞く「ティール型組織の失敗パターンのあるある」だと思います。結果、組織にいるメンバーが疲弊し、組織がストレス地獄になりました。

「性善説」 VS 「セキュリティ対策」により生まれた不満

2017年頃、セキュリティの内部対策を強める必要があり、進めていたのですが、「性善説じゃないんですか?」「ルールが少ないのと矛盾しませんか?」などの声が出ました...。

性善説の正しい意味は「人は本来善であり、たゆまぬ努力をすることで善であり続ける」です。

つまり「しっかりした教育や努力、訓練によって善が保たれる」ということであり、「手放しに信用し何も対策しなくても大丈夫」という意図はなかったのです。

もちろん、説明して修正しようとしたのですが、「ルールが少ない」「性善説」というメッセージが強烈だったため、当初の期待とのギャップで不満が溜まりました。

自律分散型が機能し始めた現在であれば、セキュリティ領域にアサインされたメンバーが付与された権限の中で、(他の領域を侵害しない限り)許可を取らずに進めることができます。(もちろん、メンバーに対して「なぜやるのか?」など必要最小限の説明は必要です。)

その状態に比べると、ストレス地獄ですし、無駄な不満が溜まる組織の設計や構造でした。

「情報オープン」 VS 「報酬は非公開」により生まれた不満

2017年以前からRELATIONSは比較的に情報オープンの風土でした。評価や給与などの一部の人事情報以外はオープン。

組織の再定義した時も同様に「今後も一部の人事情報以外はできる限りオープンにしていきます」という方針でした。

しかし「フラットな組織」「ルールが少ない」「情報オープン」というメッセージをもとに、個人の給料を含めた人事情報もオープンにすべきではないか?といった議論が始まりました。

人事制度は完璧でないため、ある時点における個人間の報酬の差を合理的に説明し切ることはできません。AさんとBさんの年収が10万円違ったとして、合理的な理由がない場合も多い。入社時のオファー額は前職の給料を参考にしたりするので、ある時点では会社内での活躍と乖離が生まれることは当然かと思います。

この状態で、給料などの情報を公開することは傷つく人が生まれることが予想され、現時点では組織にとってメリットが少ないと判断しました。

そのため人事から「現時点では評価や報酬まで公開するのは難しい」という結論を伝えました。

しかし、先の話と同様「期待と現実のギャップ」によりやり取りの後に不満が残り、組織風土の悪化につながりました。当初のメッセージとのギャップで「何だ、結局オープンではないのか」「一部の人だけ知っている情報があるのはフラットではない」といった感想を持つのは当然かと思います。

このように、様々な領域で「ルールをなるべく少なくすべきという議論が起こり、採用されない」ということが繰り返されるようになり、全員が疲弊していきました。ストレス地獄でした。

世の中でちらほら聞く自律分散型の組織(ティール型組織など)の崩壊パターンの1つはまさにこのパターンだと思います。

自律分散型の組織への誤解とそれにもとづく誤ったメッセージングによる組織風土の悪化。

もう少し深掘りすると、自律分散型の組織に必要な「ガバナンス」を構築する前に、もともとあった暗黙のガバナンスを解除し「秩序」を弱め、ストレス地獄に陥ってしまうパターンです。

これらはすべて誤ったプロセスで進めた経営の責任だったと振り返っています。

緊急的にトップダウンで経営機能を復活

さて、そのように組織風土が悪化する中、方向性が合わないあるメンバーが、内々で1つの事業を別会社化するよう何人かに働きかけていることがわかりました。

組織風土の悪化も合わせ「ガバナンスを再構築しないとまずい」ということで、緊急的にトップダウンで経営機能を復活させました。そして、問題への対処と共に、自律分散型の組織に向け、ピープルマネジメントの整備や人事制度の刷新などを進めていきました。

ただ、このトップダウン的な経営機能の復活も「フラットな組織」というメッセージとずれてしまい、不満が溜まる原因になりました。

この頃から、飲み会での陰口や不満が増えました。ダブルパンチのように経費ルールの逸脱なども見られ、組織の「秩序」が非常に弱まっていたと振り返っています。

自律分散型の組織への変化と効果

問題だらけの状態でしたが、自律分散型の組織に向けた取り組みは着実に進めていました。人事制度の刷新、自律的に物事を進めるためのピープルマネジメントの徹底、ホラクラシーの導入、など、地道に手を打っていきました。

トランジションマネジメントに書かれていたことですが、人は一気に新しい方向性に向けて歩み出しません。新しいことを始める前に、まずはそれまでの習慣などを終わらせ手放さないといけない。その上で、不安定なニュートラルゾーンに入り、やっと新たな始まりに突入するそうです。

つまり、組織は一気に変わらず、組織変革のアクションの効果は遅れて現れるということだと思います。

かなり回り道をしましたが、2019年から徐々に組織の状態は良くなり、組織は250以上の役割に分割され、各所で自律的な動きが出てきました。

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特に、自律分散型の組織に適したガバナンスの仕組みである「ホラクラシー」の導入が決定打となり、組織が変わり始めたと実感しています。

変化と効果①:役割の分割と明瞭化が進んだ
ホラクラシーの詳しい説明はこちらに記載してますが、組織を役職ではなく「役割」で分割し、「憲法」に従って組織運営を行うガバナンスの仕組みです。

例えば、CEOという役職は、組織によって担う「役割」が違います。営業に強いCEOであれば、アライアンスなど営業の役割を重めに負うかもしれません。技術に強いCEOだと技術的な方向性を示す場合もあります。しかしながら、通常の組織では「CEO」としか表現されず、役割は暗黙知となります。

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一方、ホラクラシーではCEOという役職はありません。代わりに、CEOが行っていた役割が分割され、適材適所でアサインされます。

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弊社でも、ここらへんの役割の分割が行われ、大きなアライアンスや組織はもともとCEOであった長谷川、全社戦略やリードリンクの配置は加藤、といったように、役割とそれに紐づく権限と責任がかなり明確になりました。

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マネージャーについても、これまで暗黙的に抱えていた役割を分割し、適材適所でアサインし直せるようになりました。

<マネージャーが暗黙的に抱えていた役割>
1.チームの戦術の策定
2.チームの数値マネジメント
3.チームメンバーの業務的なレビュー
4.全社方針の伝達
5.ピープルマネジメント(目標設定、1on1、フィードバック)
6.評価
7.チームビルディング
etc...

例えば、チームの戦術を考えたり、数値マネジメントは得意であっても、「メンバーの成功」に寄り添い、ティーチング・コーチング・フィードバックを適切に使い分けるピープルマネジメントが苦手なマネージャーもいます。

本来とてもパフォーマンスが高いはずのマネージャーですが、苦手なことを暗黙的に求められ、ストレスがたまり、パフォーマンスが出ない。そして、メンバーは成長スピードが上がらないのであれば、これほど不幸なことはありません。

通常の組織であれば、それでもマネージャーが暗黙的にすべての役割が求められると思いますが、ホラクラシーでは、役割を分割し、全社から得意な人をアサインできます。

変化と効果②:組織の構造変化が目に見えて数倍になった
ホラクラシーでは常に組織構造が進化します。

すべてのサークルで、月1回のガバナンスミーティングが実施され、組織構造の歪を察知したメンバーが、役割の追加・削除・修正(権限と責任の修正)を提案できます。

そして、リードリンクという「人をアサインする役割」が必ずサークル内に設けられます。そのため、通常の組織と違い、役割変更がかなりの頻度で起こります

現在、RELATIONSでは20のサークルがあり、月に20回(各サークル月1回)、四半期に60回のガバナンスミーティングが開催され、構造変化が起こります。

これまでは、組織の構造変化は多くても四半期に1回でした。単純化すれば、組織の構造変更の回数が60倍以上になっていると言えます。

メンバーが世の中の変化を感じ取り、組織構造に歪を感じた時(例えば、顧客に変化があるので◯◯の役割が必要なのでは?といったような時)組織が自律的に変わっていきます。

変化と効果③:「手放す」と「自律」が連動し出した
組織の役割を分割し適材適所を行うためには、権限と責任を暗黙的に抱えていたマネジメント層は意識して「手放す」ことが重要です。一方で、メンバーは意識して役割を担いに行く「自律」が重要です。

RELATIONSでは、役割の手放しは、以下のように社内のSlack上で後任を社内公募して行っています。

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公募をした結果、以下のように手が上がり役割を手放すことができました。そして、新卒2年目の福濱くんが、社内のフィードバック制度を回す役割にアサインされました。

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それ以外にも、各所で「権限の手放し」と「自律的な動き」が増えてきました。

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以下は、ホラクラシーの会議で決まった役割の追加・削除・修正についてのSlack上での共有です。

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そして、自律分散型の組織に最適な「秩序」が保たれる状態になっていきました。

ガバナンスミーティングで組織構造が変わるのを「ランダム」な状態とすると、ホラクラシー憲法があることで「秩序」が保たれます。

このように「ランダム」と「秩序」を繰り返すことで、組織が変化に強くなっていき、新しいことが生まれるパワーになると思います。

自律分散型の組織を創るためのキー

さて、ここからは自社での失敗を踏まえ「自律分散型の組織を創るためのキー」を紹介します。

<自律分散型の組織を創るためのキー>
1.「変化に強い組織を創る」と意思決定する
2.自律分散型の組織を誤解せず、ロードマップとメッセージを設計する
3.血の通った組織の目的が設定されている
4.ピープルマネジメントを徹底する
5.自律分散型のガバナンスを構築する
6.適切に情報をオープン化する

1.「変化に強い組織を創る」と意思決定する

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経営陣が、変化が激しい競争環境に適合するために「変化に強い自律分散型の組織を創る」という意思決定をしてからすべてが始まります。いきなり極端に進めなければいけないわけではなくまずは「中長期的にはこっちの方向性にする」という意思決定が重要です。

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そして、ティール組織などの言葉に飛びつくのではなく、自律分散型の組織が必要とされる背景(変化が激しい世の中)をしっかり理解することも大変重要です。

背景を理解していなければ、変革し切る前に壁に直面し、諦めてしまう可能性が高いと思います。

2.自律分散型の組織を誤解せず、ロードマップとメッセージを設計する

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自分たちは「自律分散型の組織がフラットでルールが少ないという誤解」をもとに誤ったメッセージを放ち、大きな回り道をしました。

<自律分散型の組織の実態>
自律分散型の組織は、意思決定の面はフラットではなく、秩序を保つためのルールが明文化されている。

上記をまずしっかり理解し、それに基づいたロードマップやメッセージを設計することが重要です。

「フラット」「ルールが少ない」という話は誤解であり、本質ではありません。重要なことは、自律分散型に合致した「秩序」を構築し、1人ひとりが決められた領域において自律的に物事を判断し進めていくことです。

フラットでルールが少ないと、物事を決めたり進める際にノイズが大きくなり、何も進まなくなる。そして、ストレス地獄が待っています。

3.血の通った組織の目的が設定されている

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1人ひとりが自律的に判断し動くためには、組織の目的が共有されていることが重要です。

ミッションへの強い共感やエネルギーが出るまで色々な痛みはありましたし、方向性が違うメンバーの離職が増えた時期もありました。

それでも血の通った目的=ミッションを再定義したことは自律分散型の組織を創る上で重要なピースでした。

4.ピープルマネジメントを徹底する

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1人ひとりが自律的に動くためには高い頻度での「活動の立て直し」が重要です。これがピープルマネジメントです。

1兆ドルコーチにも書いてありましたが、自律の極みのようなGoogle創業者のラリー・ペイジでさえも、ビル・キャンベルというコーチをつけ定期的に自らを立て直しています。

「自律分散型の組織だから、勝手に動けば良い」「マネジメントなんていらない」というのではうまくいかないと思います。

指示命令形のかつてのマネジメントではなく、高い頻度で目標管理、1on1、フィードバックを実施し、高頻度でメンバーを立て直すピープルマネジメントが重要です。ピープルマネージャーは怖いボスではなく、優れたコーチであることが求められます。マネージャーという「役職」は必要ないかもしれませんが、ピープルマネジメントの機能は必要なのです。

RELATIONS12年選手の自分は、入社約1年のメンバーのピープルマネジメントを受けています。業務内容や年次はあまり関係ありません。

自律分散型の組織では「活動の立て直し」以外にもピープルマネジメントが生きるシーンが多々あります。例えば、役割の変更時です。

自律分散型の組織では、役割を手放さなければならないシーンが増えたり、自律的に役割を担うことが求められるので、意識の発達段階を高めていくことが求められます。ピープルマネージャーは、1on1などでメンバーに寄り添い内省を促し、意識の発達段階を高める支援をします。

5.自律分散型のガバナンスを構築する

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先に書いたように、RELATIONSでは「自律分散型な秩序」を築くために、ホラクラシーをガバナンスの仕組みとして取り入れています。

自律分散型の組織におけるガバナンスはどうすれば良いか?ということを考えた時、世の中に最も広がっている標準化されたガバナンスの仕組みはホラクラシーだという結論に至り、2019年より導入しました。

ホラクラシーは標準化されているのが特徴です。世界共通のホラクラシー憲法(組織に合わせチューニングも可能)によってガバナンスの仕組みが標準化されているので、正しく理解さえすれば導入しやすい。

なお、日本では「ホラクラシー型組織」と言われていても、ホラクラシー憲法を元に運営していない場合も多く、純ホラクラシーで組織運営をしている会社はかなり少ないと感じます。ホラクラシー憲法や進め方が日本語化されてなかったり、先の誤解が原因かもしれません。

また、最近よく聞くティール型組織は、社長の哲学やそれまで築いてきた企業文化が憲法のようになっている会社が多いと思います。そういった形態だと暗黙知化されている部分も多く、参考にして導入することは難しいと感じます。

RELATIONSではホラクラシーによって、自律分散を保ちながらも組織に「秩序」を取り入れることができました。まだまだこれから洗練させていかないといけませんが、大きな手応えを感じています。

なお、ガバナンスの仕組みが構築されたことで、先述したセキュリティや人事情報の話も、関連するロールに権限が付与され、単独で意思決定していけるようになっています。責任と権限が不明の状態で議論だけ起きて疲弊する、といったことにはなりません。

6.適切に情報をオープン化する

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1人ひとりが自律的に物事を判断するためには、情報が必要です。RELATIONSでは先述したように一部の人事情報以外はオープンになっています。今後についても自律的に判断するために必要な情報をできる限りオープンにしていきます。

そして、情報オープン化を進める上では、SaaSなどクラウドツールを使いこなす環境であることも重要です。

そして、クラウドツールの活用を前提とするならば、クラウドネイティブな環境でのセキュリティ対策が肝になります。(内部対策はSSO、CASB、MDM、Google Vaultなど)自律分散型の組織だからこそ、クラウドツールでの仕事の仕方になるからこそ、内部・外部のモダンなセキュリティ対策が必要とされます。

日本復活の鍵は、自律分散型の組織への変革

最近、変化に強い自律分散型の組織を増やすことが日本が活力を戻すきっかけになるのではないかと思っています。

多くの組織が採用しているヒエラルキー型の組織は「不確実性が低い世の中」を前提に設計され、10年後の変化がより激しい世の中で機能するかはわかりません。

変化に強い自律分散型の組織を再構築できている会社は世界でもまだまだマイノリティですし、何より日本文化に合う気がします。

というのも、「中央集権的に誰かが物事を決め、成果主義で評価をし・・・」といったかつての組織運営の方法は、どちらかと言えば、欧米の文化に適合した仕組みではないでしょうか。

日本には「八百万の神」という考えがあります。「あらゆるところに神は宿る」と考える文化で、一極集中より分散的な思想が強い国だと思います

唯一苦手なのが、明文化でありルール化。ここらへんはまさにガバナンス構築の話であり、ホラクラシーのような何かしらの標準化された仕組みを導入することが肝になると思います。

今後も、自分たちの失敗も踏まえ「変化に強い自律分散型の組織」を創るお手伝いや情報発信をしていきます。もし興味ある方はご連絡くださいませ!