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1on1は点ではなく「線」でも捉える。メンターのスキルを上げる6つのヒント

※本記事は2019年9月に執筆した記事です。

RELATIONSで組織改善コンサルタントをしている飯岡といいます。普段は、クライアントの組織課題をヒアリングして解決策を提案したり、ワークショップの講師をしたり、全方位で伴走しながらクライアントの組織改善を支援しています。

前回の「1on1メンターは何をすべきか?より良い時間にするために大事なこと」に続き、1on1ミーティング(以下、1on1)の話です。今回はメンターに慣れてきた方が考えてみたいテーマになります。

1on1自体にメンターが慣れてくると、その人なりの型ができるようです。よくあるのは、

1.メンティに事前に振り返りをしてもらい、シートに記入して持参してもらう
2.1on1が始まったら、シートに書いてある内容を簡単に聞いていく
3.一通り聞いたら、その中で1番話したいテーマをメンティに決めてもらう
4.その内容をメンターとメンティで深堀りし、次アクションを決める

でしょうか。型があると毎回ほぼ同じ流れになるので、メンターだけでなくメンティもやりやすくなるみたいですね。

一方で、1on1は定期的に開催しながら回数を重ねていくものでもあります。1回1回の「点」をどうするかだけではなく、複数回分を見渡した「線としての1on1」も考慮すると、メンターとしてのスキルの幅が広がります。

「線としての1on1」を意識するエッセンスとしては、

A.回数と時間をかけ、長い目で見てみる
B.たまには型を外れる

の2つがあると自分は思っています。それぞれ、いくつか実践のヒントになりそうなケースをあげてみます。

A.回数と時間をかけ、長い目で見てみる

「点ではなく線で1on1をする」というのでわかりやすいのは、1回の1on1で結果を求めようとせず時間をかけながら長い目で見るというものです。

ヒント1:信頼関係構築に時間をかけてみる

例えば普段あまり話さない人同士の場合、いざ1on1を始めても表面的な会話しかできないことがあります。そこで相手によっては最初の1、2回はお互いを知る回と割り切ってしまうのも1つの方法です。

振り返りや課題の深堀りをせず、代わりに1on1の時間を使ってメンティの業務状況や感じていることを詳しく聞いたり、メンティの人となりがわかるような質問をしてみます。逆にメンター自身のことを自己開示して説明し、相互理解を深めていくのもいいと思います。十分にお互いを理解できたと思えたら型通りの1on1をしてみましょう。

ヒント2:失敗しそうなアクションでも、あえて止めない

メンティが設定したアクションが、メンターから見ると明らかに筋が悪いものだとしても、あえて止めずにやってもらうというやり方です(もちろん本人や業績に影響がない範囲ですが)。短期的には失敗に終わるかもしれませんが、長期的に見てその行動が成長に大きく寄与しそうであれば「あえて失敗させる」ことにも意味があります。

ちなみに、なぜその判断をしようと思ったかを言語化しメモしておくと、失敗後に振り返りをしやすくなるのでおすすめです。

ヒント3:すぐに答えがでないことも質問する

1on1はよく「気づきを与える」と言いますが、スケールが大きすぎる問いはすぐに答えが出ないこともあります。例えば会社のビジョン・ミッション・バリューを全く意識していないスタッフに「うちのビジョンって、どう思う?」と聞いても、まったくピンと来なかったりするかもしれません(ある意味「考えたことがない」というのが気づきなのですが)。

ただ、1度聞かれたことで、考えるきっかけになることもあります。その後も定期的に1on1で取り上げることで、メンティにとって意識する機会となり、いずれ答えが見えてくるかもしれません。一発で答えや気づきを求めないすぎないことも大事です。テーマによっては長い目をもって、回数を重ねながら考えを深めていくというアプローチも1つです。

B.たまには型を外れる

型ができると安定した1on1ができる反面、マンネリ化してしまったり、短期的な視点に終始してしまうことがあります。ときには型を外れることで、新鮮な観点で1on1をすることができます。

ヒント4:中長期の話をする

中長期の話をする際の定番の質問は「◯年後、どうなっていたい?」ですかね。ただ経験上、数年単位の未来の話をスパっと答えられる方は結構少ない気がします…。もう少し近い未来、例えば3ヶ月先や半年先の方がイメージがわくケースが多いように思います。

もう1つのおすすめは「今の課題が全部解決したとして、その次はなにやりたい?」という聞き方です。目の前の課題を解決したという状況がイメージしやすいので、その上で何をやりたいかという想像もしやすくなります。そのうえで、そのやりたいことに対し「いつ頃までにそうしたい?」と追加で聞けば、時間軸も明確にすることができます。

ヒント5:内面の話をする

1on1を繰り返していくと、メンティの性格が見えてくると思います。メンティが持っている価値観や判断軸についてディスカッションをし、メンティ自身に自分の感じ方のクセや内面を認識してもらいます。

お題としては、

・直近のメンティの「性格が出ているな」という判断を取り上げ、どういう価値観や感情に基づいているのかを聞いてみる。加えて真反対の判断をしない理由なども深堀りしてみる。

・エニアグラム、16personalities、ストレングス・ファインダー(クリフトン・ストレングス)などの性格診断をし、結果についてどう思うか話し合う。また裏付けるエピソードなどをメンティに話してもらう。

ジョハリの窓をやり、自己と他者の認識の違いを見比べてみる。またそれを見て感じたことや認識が違う理由をメンティに考えてもらう。

などがあります。お題はあくまで話のきっかけで、それを元に価値観の深堀りができるとよいと思います。

ヒント6:過去の1on1を振り返る

1on1の記録をつけているのであれば、過去の1on1で話した話題を振り返ってみると面白いかもしれません。例えばWistantのようなツールを使っていれば過去ログも簡単に見ることができます。

当時話していた課題が既に解決していて、すっかり忘れていたことに気づいたり、昔は今と比べてレベルの低い内容を話していたり。短期では成長度合いがわかりづらい方も、長期ならわかりやすいこともあります。メンティも自身が成長できていることを実感できれば、1on1や日々の業務に前向きになれると思います。

どういう1on1にするかもオープンに話し合う

ちなみに、このようないつもの型とは違う1on1をするときは、メンティへの予告なしにいきなり行わず、「次回は、過去の1on1を振り返ってみたいんだけど、どう?」といったように事前に相談しあいましょう。

メンターの方の中には、良い1on1の場にしようと思うあまり、メンターの意図を深読みさせないように手の内を見せないことがあります。が、1on1はメンティのための時間です。メンティが納得する、メンティがしたい形にすることが大前提です。なので、「過去の1on1を振り返りたいんだけど」と提案しても「いや、普段どおりがいいです」とメンティが言うのであれば、そちらの意見を優先しましょう(提案した側としては、ちょっぴり寂しいですが)。

長い期間、1on1をし続けていくことを考えても、どういう1on1にするかをオープンに話し合う関係性でいることはとても重要です。毎回時間オーバーしがちなことが気になるならそのことを相談してもいいですし、メンター自身が話しすぎだと自覚があるなら「話しすぎだと思っているので次回は聞き役に徹します」と宣言してもいいと思います。

1on1そのものについて思ったことがあれば包み隠さず話し合いましょう。「1on1はメンターだけでなく2人で作り上げていくもの」と思うことがお互いにとって1番良い1on1になるはずです。

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