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【10分でわかる】ホラクラシー®

私たちRELATIONSが採用する組織運営方法『ホラクラシー』について解説する記事です。
一見、ルールの多いホラクラシーの本丸を噛み砕いて説明します!

この記事では下記のことがわかります。

なぜホラクラシーが注目されるのか

私たちRELATIONSでは、2019年より組織運営の手法としてホラクラシー®を採用しています。海外では大企業でも採用されており、アパレルEC事業を営むZappos.comの事例はとても有名です。

そもそもホラクラシーとは何か

ホラクラシーとは、2007年に米国ソフトウェア会社であるTernary Softwareの創業者Brian Robertson氏が開発した組織運営方法です。現在は同氏によるHolacracyOne LLC.が商標登録を有しています。
ホラクラシーは、従来のヒエラルキー型組織(上下関係や階層構造)ではなく自律分散型組織の一つの形態です。

 ホラクラシーの最大の特徴

VUCAワールドと呼ばれる激動の時代に対応するために、アジャイル開発やリーンスタートアップなど、様々な事業の推進方法が企業で開発されてきました。それらとホラクラシーは何が違うのでしょうか?

組織には「力の構造」と呼ばれる「力・権限・意思決定・リーダーシップ」の力学が働いています。
従来の組織では、「何かを提案しても、十分に吟味されず、承認されない」などの事象がよく起こります。この変化を抑制する「力の構造(組織の力学)」を再定義したのがホラクラシーです。
その構造が適切でない場合、アジャイル開発等の新しい手法を取り入れても、組織の力学によって十分に機能しないことが起こります。
その再定義した内容を記した文書が、ホラクラシー憲章です。

ホラクラシー憲章

ホラクラシー憲章とは、HoLacracyOne LLC.の示すホラクラシーを適切に運用するためのルールとプロセスが記載されている文書です。
ホラクラシー憲章は下記の内容で構成されています。

  1. 前文

  2. 組織体制

  3. 協力のルール

  4. タクティカルミーティング

  5. 権限の分散

  6. ガバナンスの管理

(参考1)ホラクラシー憲章ver5.0の公式ページ(English)

(参考2)日本語版

この憲章では、「私たちが自律的に創造性を発揮するためのルールとプロセス」が記載してあります。

「それってどんなルール?」と知りたくなると思います。少し我慢してください。ルールの説明に入る前に、ホラクラシーの根底にある考え方を押さえておきましょう。

ホラクラシーの根底にある考え方

ホラクラシーを理解する上では、「テンション(tenstion、ひずみ)」という概念がとても大切です。ここでいうテンションとは「今日はテンション高いね〜!」などのテンションとは全く別物です。

人の創造性はテンションとして感知される

ホラクラシーでいうテンションとは一体なんでしょうか?

ホラクラシーでは、『今起きている現実』と『ありたい理想状態』との間にあるギャップを感知したときに生まれるものをテンションと呼んでいます。

このテンションは、「個人が感知するテンションは、重要な組織の経営資源の1つである」とされています。
このテンションを適切に処理することで、組織や事業は、激動の環境に適応しながら成長していきます。

ちなみに、この考え方の根底には、「人間には『今この瞬間に不協和を感知し、変革の余地があることを見通す能力』がある」という人間観があります。
テンションとは「より良い状態への可能性」が秘められている、人の創造力の源泉であり、ホラクラシーは人の持つ可能性を最大限に活かす経営手法といえます。

さて、お待たせしました。この一人ひとりが持つテンションを適切に活かすためのルールとプロセスとはどんなものでしょうか?

ホラクラシーのルールとプロセス

ホラクラシー憲章の内容をすべて説明すると、とても10分では読みきれない記事になるので大事なポイントを2つだけお伝えします!

  • ポイント【其の一】 人と役割(ロール)を区別する

  • ポイント【其の二】 2つの重要なミーティングがある

【其の一】 人と役割(ロール)を区別する

ホラクラシーでは、「役職」と「役割」を区別して捉えています。
これにより役割に適した人材をアサイン(委任)を実現します。
この役割のことを、ホラクラシーでは「ロール」と呼んでいます。

人は役職ではなく役割ごとにアサインされる

この役割(ロール)には、目的・権限・責務が明記されます。
具体的には以下のように定義されます。

ロールには「目的、権限、責務」が定義される

このロールがさらに細分化された役割を持つ場合、ロールは「サークル」と呼ぶことができます。このロールやサークルの集合体がホラクラシーでの組織図になります。

RELATIONS株式会社の実際の組織図(2023年4月時点)
1つ1つの小さな円がロールです。
複数の小さな円をまとめている1つ1つがサークルと呼ばれます。

この記事で覚えなくても良いのですが、各サークルには、以下の4つのロールが存在します。
なんとなく「サークル全体の方向性を決める人」「ミーティングを円滑に決める人」がいるんだな〜くらいに覚えてください。

(※1)ロールへのアサインは、サークルリードとメンバーの合意で決まります
(※2)憲章バージョン5以降では必須ではなくなりました         
尚、上記の呼称は憲章バージョン5以降の呼称です。          

【其の二】 2つのミーティング

ホラクラシー憲章では2つのミーティングのプロセスが定義されています。

  • タクティカルミーティング

  • ガバナンスミーティング

上記2つです。それぞれ目的が異なります。

▼タクティカルミーティングの目的

✔ 情報の共有・同期・可視化
✔ 日常業務に関わるテンションの処理

このミーティングでは、「問題をじっくり解決するよりも、各自が持っている情報やテンションを共有・同期・可視化すること」を重視します。そのため、ミーティング自体は、とてもテンポよく進みます。

▼ガバナンスミーティングの目的

✔ 組織構造の変更
 (1)ロールの削除・追加・修正
 (2)ポリシー(業務上のルール)の削除・追加・修正

※ここでいうルール(=ポリシー)は「憲章」とは異なり、会社ごとに決められるルールです。

通常の組織との違いは、このガバナンスミーティングで顕著に現れます。
通常、組織構造の変化は、中期経営計画などに沿って経営層等の一部の部署で行われることが多いですが、ホラクラシーでは誰でも提案することができ、有効な反論がなければ、提案は有効(=可決)になります。
これにより、新入社員でも組織構造にテンションがあれば、気軽に起案することができます。

ちなみに、2つのミーティングはプロセスが厳密に定義されています。
プロセスについては情報量が多いので、下記に概要のみ記載しています。
このプロセスについては、読み飛ばしていただいて大丈夫です。

▼ タクティカルミーティングのプロセス

タクティカルミーティングの流れ
プロセスが決まっているため、進行スピードが早い特徴がある
STEP1から順番に進行する

▼ガバナンスミーティングのプロセス

ガバナンスミーティングの流れ
提案者がきちんと守られるプロセスになっている
STEP1から順番に進行する
(※1)質問者は自分の意見や感想を言ってはいけない             
(※2)リアクションラウンドでの意見を聞く・聞かないは起案者が決める    
(※3)反論がある場合は、反論が有効かどうかテストするプロセスが別途存在する
(※4)有効な反論がある場合、起案者は提案を修正・棄却しなければいけない  

まとめ

この記事を要約すると下記のようになります。

ホラクラシーは・・・

✔ 自律分散型組織である
✔ 自律を促すために「力の構造」を再定義している
✔ 「テンション」ドリブンな組織運営である
✔ 「役職(人)」と「役割(ロール)」を分けている
✔ 2つの大事なミーティングがある

おわりに (お誘い)

RELATIONSでは、実際にホラクラシーを活用しながら自律分散型組織を経営しています。ホラクラシーについてもっと知りたい方は下記のイベントにぜひご参加ください。

社内ミーティング見学ツアー

このツアーではホラクラシーのタクティカルミーティングやガバナンスミーティングを見学することができます。

RELATIONS㈱のホラクラシー導入ストーリー

令三社の山田裕嗣さんにホラクラシー導入についてインタビューいただきました。下記の記事では生々しいホラクラシー導入時の奮闘ドラマをご覧いただけます。

ご要望があれば、もっと詳しい記事を書くかもしれません。
希望する方は「スキ」や「シェア」いただけると大変嬉しいです。

(執筆:廣瀬)

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