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社長と社員の想いで振り返るRELATIONS【後編】 RE:STARTとはなんだったのか?

RELATIONSの歴史を語る上で、大きな分岐点となった「RE:START(リスタート)」というプロジェクトに迫るため、代表の長谷川と社員の声をもとに、創業当時から振り返って紐解いていった【前編】の記事

ここからは、いよいよ、RE:STARTによって生じた様々な想いの交錯と、その後のRELATIONSを、社員の声を中心に丁寧にお伝えしていきます。


RE:STARTの全貌 は「対話、対話、そして対話。」

2021年1月から約半年間にわたり実践された「RE:START」プロジェクトは、代表の長谷川が総指揮をとる中、丁寧な対話のプロセスがとられていきました。

「RE:START」の流れは上記のようなものでした

▼ 流れについて詳しくご覧になりたい方は以下の記事もご参照ください。

一方、このプロジェクトの裏では、気持ちがついていけていない社員が多数存在していました。

▶会社と自分との距離を感じ、離職を考える社員たち

元々、社員の多くは既存の「パーパス」と「事業」への共感が高く、2020
年の年末、突然言い渡された2つの事業譲渡は、大きな混乱を招きました。
事実、この事業譲渡は、対話を重要視し始めていた当時の流れとは逆行し、事業責任者と代表の長谷川との間で意思決定され、すべての社員には”決定を言い渡される”というプロセスでした。

組織づくりに大きく関与していた創業メンバーの一人は、当時を振り返ってこう語ります。

まさか、そうなるか…と思って、とてもショックでした。
組織を中心で担ってきたのに、なんのためにやってきたんだ?と思った。
創ってきたものが、一瞬で崩れ去るかんじ。
この時はじめて、会社と自分は一緒じゃないんだ、と思い知った。

覚悟をもってRE:STARTを推し進めた長谷川は、後にも先にもこの時しか口にしないことを発信しています。

「この船に乗れない人は、やめてもらってかまわない。」

社長自らが覚悟をもって、社員全員に”この会社に残るか、または去るかについて、一考すること”を求めたのです。

新卒で入社しを会社の新規事業づくりや、制度設計等を担っていた社員はその時のことを、こう語ります。

この頃は、コロナも重なって空気はとても重いものでした。
新規事業をやっていくと思っていたのに、コンサルの会社になってしまった。コンサルの会社で働きたいわけではない。
会社の方向と自分の方向がミスマッチになってきて、一度は転職を考えました。

▶実は、担当していた業務や立場で温度差も

一方、コスト改善のコンサルを担っていたメンバーの中には、大きく影響を受けなかった面々もいます。創業前後から長谷川と関わりのあるメンバーは、

パーパスやストラテジーが変わっても、自分はなにも変わらないと思った。
長谷川さんについていくのみ。長谷川さんのことを信じている。

と語る社員や、目の前の業務に忙殺されて、

RE:STARTがピンときていなかった。当時、オンラインでひとりでお客さんを多く抱えていて、RE:STARTの対話も少し時間がもったいないと思うこともあった。

という社員もいました。このことからも、収益事業のコンサルを担っていたメンバーとそれ以外のメンバーとでは、物事への受け止め方、感じ方に違いがあったということが、後々わかってきました。

混乱の中でも、徐々に方向性が定まっていく

一時は「対話疲れ」や「結果が出ない対話を続けて意味があるのか」などの批判的な意見も多く見受けられた社内でしたが、時間の経過ととともに、徐々に会社の向かうべき方向性と、社員のみている方向が揃っていきます。

▶2022年 現パーパス「会社に生命力を」を制定

2019年に導入した「ホラクラシー」の仕組みがうまくいかなかったことが、結果として”内面を扱うことができていなかったこと”に気づいたのがこの頃のこと。RE:STARTが担った役割は、実はここが大きいことがわかってきました。

4ヶ月に渡り、通常の業務では掘り下げられない領域の対話を重層的に繰り返し実施していくことで、お互いの枠組みやメンタルモデルを共有し、組織文化の土壌を豊かにする試みです。この流れで会社の変遷を辿る全社合宿も開催し、現在の対話文化、合宿文化の原型が作られていきました。

RELATIONS note
真の自律分散型組織へ。RELATIONSが実践したパラダイムシフトの全容

当時の社員を「トランジション・マネジメント」から紐解くと?

後々、この頃のことを「トランジション・マネジメント」という枠組みを通して振り返るということを、社員で行っています。
トランジション・マネジメントとは、ウィリアム・ブリッジズの「トランジション理論」を、組織の転機に当てはめて、組織を新たなステージへと押し上げるためのプロセスとして、以下の書籍で解説されています。

トランジション(転機)は3段階で成り立っている。
「終わり〜ニュートラルゾーン〜新たな始まり」だ。
この変化において、いかに従業員たちのやる気を維持し、古いやり方を手放すよう促し、新しい環境を受け入れる後押しをするのかを、実践的かつ、ステップ・バイ・ステップで誰にでも実行できる答えがここにある。
成功する組織変更は、従業員が変化する周辺環境で明確な目的、計画、およびその一部を持っている場合に可能となるのだ。

『トランジション マネジメント ──組織の転機を活かすために』から引用

RE:STARTとは一体なんだったのか?
最後に、社員が一連の流れ生じた痛みと、新たな門出を、トランジション・マネジメントの枠組みに当てはめてみていきます。

▶トランジション・マネジメント 枠組み


  • 終わり:最初のステップは、過去の習慣、生き方、ものの考え方、関係性などを手放すプロセスです。多くの場合、喪失感を感じます。良い変化だとこのプロセスに気づきにくいのですが、どんなトランジションでも必ずこの段階を通ります。

  • ニュートラルゾーン:古いやり方は手放したものの新しいやり方にはまだなじんでいないという状態で古い現実と新しい現実の間です。

  • ニュービギニング:トランジションから抜け出し、新たな始まりを迎えるフェーズです。この時期に新しいアイデンティティが確立し、新たな意欲や目的意識が生まれ、変化が本当の意味で影響力を発揮し始めます。


▶社員A :自分のパーパスを見つめ直し、会社との重なりを見出す。

【終わり】
・くよくよ考えていても仕方がないので、一旦気持ちはリセットして色んな役割に手を挙げて挑戦してみよう。

・組織づくりは面白いし、探求しがいがあるなぁ。
・会社の新たな方向性のコンサルも良い事例が生まれつつある!
【ニュートラルゾーン】
・とはいえ、自分がやりたいこと(自分のパーパス)って何なんだろうか。
・会社のパーパスと重なる部分はあるんだろうか。
・喪失感というのか気持ち的に宙ぶらりんな感じや、自分の未来への希望(道筋)が見えない感じもある。
【ニュービギニング】
・自分がやりたいことは「21世紀の新たな株式会社をつくる」ことかも。
 このテーマはワクワクする!

・人生かける価値があるし、今の会社だからこそできることだし、自分がバリュー発揮もできそう。
・「本音や自分らしさを出しても受け止めてくれる仲間に囲まれている会社」とか「働く意味について対話し続ける会社」とか「会社という枠を取っ払って、多種多様な人がコラボレーションして、関心あるところにコミットする会社」をつくりたいなぁ!
・ロールモデルになるような会社をつくる!

▶社員B:キャリアパスで葛藤。目標を再設定して自ら動き打開。

【終わり】
・事業を手放すことによってベンチャー企業から中小企業へ成り下がると思った
・世の中の変化に敏感な人達との関わりが少なくなることに対しての恐怖
事業が少なくなることでキャリアパスがなくなる感覚
・大人数でわちゃわちゃする機会がなくなる(Zoom飲みも含む)
【ニュートラルゾーン】
・貧血や腹痛の悪化 →信じられないくらい体調に出る
・会社の人と話したくなかった
・愚痴ばかり出た
【ニュービギニング】
・自分自身への目標設定をし、自分の中で行動したら会社の体制などに自分自身が左右されなくなった
・目の前の仕事が楽しくなった
・大きな案件を頂けるようになった
・誰に対しても、自分の意見を言えるようになった

このように、トランジション・マネジメントの枠組みからみていくと、RE:STARTにおける長谷川の"強い呼びかけ"により、社員全員が一度、自分自身を見つめ直し、新たな目標設定や元々持っていた情熱・衝動を理解していくプロセスを経たことがわかってきました。

 「RE:START」が果たした役割はなんだったのか?


RE:STARTというプロジェクトを紐解く時、必ず「対話」というキーワードがあがってきます。
でも、これは他者との対話だけを意味するわけではありません。
限界まで自分自身をみつめ、”自己との対話”を重ねた結果、他者への理解や会社への理解まで思考を巡らせることができたといえます。

RE:STARTとは組織の文脈を整える役割があり、それを通じて組織と個人とが変容していくプロセスでもありました。

RELATIONSでは現在、この自社で起きたこと、扱ってきたことのすべてを、世の中に還元していくべく、コスト最適化や組織活性化の事業に力をいれています。
名実ともに「会社に生命力を」与えられる存在であり続けるために、これからも自社で様々な経験と実験を繰り返していきたいと考えています。


(執筆:RELATIONS広報パートナー 川口 塔子/編集:斉藤 里菜)